01年に出た東浩紀の『動物化するポストモダン』第一章まで読んだので疑問点だけメモ。
既読部分だけではとりあえず違和感でムズムズする。斎藤さんの『戦闘美少女の精神分析』にも触発されて出来たという一連の論述だけど、私にはまだ『戦闘美少女~』の方が親和性感じる。これはオタクに大して(ただどちらかといえば、のレベルだけど)肯定的か否定的か、匂わせているものの違いのみが原因ではない気がする。
今の段階で(!)持った疑問をまとめると、果たして著者が想定して分析していく「オタク」はそもそも「オタク」と総括りにしていい程の多数派であるのか、ということ。少なくとも私には、第一章で語られている「オタク」達は、オタクの中でも特にインテリ層のみを掬って扱っているようにしか思えなかった。もちろん彼らはどう考えても少数派。
実はオタクは「日本的なもの」に固執しているという主張や、その固執が日本における80年代のナルシスティックなポストモダニズム(これは更に敗戦っていうこの国の外傷経験と、アメリカ文化を根底にしている現代の疑似日本文化への反発と超克から引っ張ってこられる。)と関連しているのだというこの本の論述は、「「オタク系文化への過剰な賛美」を社会状況(社会構造?)と絡めながら論じようとするインテリオタク達」について限って言うのならそうなんだろうなと思う。
オタク系文化は日本的な文化という文脈と合わせて語られてきたことがほとんどで、その立場をこの本は否定する。世界的な広まりを見ても、オタクカルチャーを愛好することは日本独自の姿勢ではない、ということを言う。
混同しちゃいけないのは、「(例えばアニメ・漫画という個々のメディアの)表現」についての日本的特異性を述べることと、「(たぶん消費や流通形態、オタクという集団?についてまでまるまるっと含む)オタク文化」の日本的特異性を述べること、この二つがあるということだ。
この本の第一章は、後者の謂われについて述べようとしてる。
ここに私が持った疑問の根があるような気がする。
文化を述べるある姿勢について語ろうとする時、それを現に楽しんでいる人間については必ずしも言及しなくてもいい。なんでかっていうと、その文化について「語っている」人間を見れば、話は終わるから。だから、扱うのはオタクの中のインテリ層だけでいいのだ。
別にこの本が、「オタク系文化」についてだけ語っていればいいんだけど、たまにその枷を外して「オタク」についてまで語ろうとするから、違和をもたらすんだと思う。
大多数を占める非インテリ的(表立って自己文化言及をすることはない)オタク達は、アニメを観る前に賛美すべき日本を意識したりなんかしない。私が日本の良さ(もっと正確に言うなら「地理的に」日本に生まれたということへの喜び)を感じたのは、当のアニメや漫画に触れた「後」だ。第一章で語られているオタクは第一世代限定の話なんだろうか?でも文中を探してもその特定はないのがムズムズする。
ともかく、「オタク系文化」を受容出来るか出来ないかについてならば思想傾向は影響を及ぼすかもしれないけど、そもそも「オタクになること」が出来るか出来ないかについて言うのなら、思想は全く影響しないと私は思う。
『戦闘美少女~』において上述の二つの「日本的特異性」が同時に語られていたのは、本の扱おうとする相手が(それ自身文化に含まれてしまう)「表現(技術的な面)」を楽しむ「オタク」そのものであったからだ。「表現」と「我々」はむしろそれぞれ根拠や結果として、切り離せないものとして、必然として、同時に語りうるようになってしまってる。そんでもってオタクだなぁと自分のことを思っている私はこっちに同調性が高い。納得するかしないかは置いておいて。
要は、オタク系文化への01年までの言説、についての部分は本の主張も含めて素直に納得できる。
けど、オタクそのものについて述べている部分が、ちょっとズレてるように思えてならない。
「セイバーJ」を見た男性オタク達は、その設定の中に二次元か現実かの二者択一なんか見出さなかっただろうと思う。次元による趣味嗜好の切り替えが実際に困難なオタクなんて見たことがない。現実に彼氏彼女と付き合うからっていってあるキャラクターへの愛を捨て去る必要はどこにもない。(というかこれだけオタク系文化について述べられているのに、なんでこう微妙なところで典型的なオタクイメージ持ってくるんだろう…とても不思議だ)
あとわかんなかった部分
「70年代にコミケをパロディマンガで満たした欲望は、江戸時代の粋というよりは、その10年にアメリカでポップアートを生み出した欲望に近いものだろうし、(以下略)」
ポップアートを生み出した欲望、がどう議論されてるそもそもわかんない…こことても気になる。うずうず。なんか本読めばわかるかな。ほんと無知っていやだ。いやだ。
東さんは、オタクのオタク(こっちが斎藤さんかなぁ)なんじゃなくて、オタク文化を語る奴らのオタクなのかしら。どうなのかしら。続き明日読もうかしら。楽しみ。
英語やろうと思ったのにまた3時ですよ…。お昼にやろう。寝ますあー肌荒れがーあー。
PR